1ドル80円少々まで上がった超円高に対して、政府の為替相場介入も余り効果なく、輸出関連の中小企業が苦境に陥り、大企業の生産拠点の海外移転はドンドン進み、日本国内需要の落ち込みとともに、正規雇用減で雇用全体が落ち込んできました。
金利ゼロプラス量的緩和政策を打ち出しましたが、かつての「キャリートレード」(日本の低金利資金を集めドルに転換して投機で儲ける)による円安も起きないくらい効果は上がっていません。為替介入の手を緩められないジレンマに陥り、景気対策と称する財政出動とあいまって、財政危機を一層強めています。
世界各国が輸出利益を守るために、通貨安競争に入っています。かつて英国など欧州列強が植民地貿易で巨大利益を上げた「重商主義」をなぞって、「新重商主義だ」との批判が起きています。自国利益最優先の「近隣窮乏化政策」に走って、国際関係が悪化し、世界不況が深刻化し、第2次大戦への遠因ともなった1930年代恐慌の再来が懸念されています。
こうした世界経済の状況を見れば、一昨年来の、資本主義の過剰生産恐慌と金融危機(経済の金融化の破綻)からまだ脱していないことは明らかです。労働者搾取(購買力抑圧)という、本源的に過剰生産を生む資本主義(利潤第一主義)システムの桎梏から逃れられず、益々利潤第一主義に走っている姿がそこに見られるのではないでしょうか。
資本主義(利潤第一主義)の核心部分が、工場など生産手段の私的所有です。生産手段を社会的所有に移すことで社会主義経済となり、過剰生産恐慌と金融危機を本源的に解決できる、これが科学的社会主義の理論です。
しかし、現段階は、そこへの過渡期であり、就職難、生活苦を押し付けられた労働者国民が、自らの連帯した闘いで雇用と生活を確保し、政治変革の展望を獲得することが求められます。
日本共産党は、「ルールある経済社会」への「5つの経済改革の提言」を発表しています。 その実現に向け、先頭に立って、労働者国民とともに進みたいと思っています。