5月4日付日経に大竹文雄阪大教授が「不況の真因『需要』にあり」として、最近の経済理論を紹介しています。そのなかに興味深い論述が展開されています。
「不況によって発生した失業者を公共投資や公的サービスによって雇用する」「政府によってモノやサービスの需要を作り出すことが不況の解決手段」と述べ、「役に立たないものやサービスを作り出しても意味がない」「財政支出によって既存産業の合理化を進め生産効率を高めることも意味がない」とキッパリ断じます。
「どのような公的需要を創出すればいいのか」と問いかけ、「失業者が増えている分野ではなく、私たちの生活を豊かにする分野での職業訓練」「生活環境を改善するような投資や公的サービス」「環境投資、介護サービス、育児サービス、教育など」としています。
さらに「財源はどうすればいいか」と問い、「資産所得税や高所得者に対する課税強化」「これらの税金を使って、公共投資や公的サービスを拡充することは、所得の高い人から失業した人に所得の再配分を行う格差縮小策であると同時に、失業という非効率性を解消する政策でもある」「大事なことは、ばらまきではなく、私たちの暮らしを良くするための投資にお金を使うこと」と指摘しています。
私は、この論述に、不況対策として、大企業の社会的責任(雇用と生活を守る)を加えることを提案したい。サブプライムローンという「偽装需要」と「金融バブル」の崩壊で姿を現したのが、「過剰生産と需要不足」による不況(マルクスの言う「資本主義の『死に至る病』=恐慌」)です。資本主義の利潤第一主義の下で、労働者を搾取するから消費(需要)不足が起こり、過剰生産で労働者の首を切ってさらに需要不足を拡大する、この社会的災害は大企業が引き起こしたものです。
政府・自治体が、国民の暮らしを良くする施策で雇用創出を図るとともに、大企業に労働者の雇用と生活を守る社会的責任を果たさせる、これが真の不況対策ではないでしょうか。
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