財界は、財政危機を理由に、福祉の財源は消費税増税しかない、と言ってきました。消費税増税を言い出した菅政権が参院選で敗北しトーンダウンすると、今度は、大企業・大資本の成長戦略のためには法人税減税しかない、と言い出しました。菅政権は、扶養控除廃止など個人増税で財源を生み出すとしていますが、財界・大企業は、価格転嫁で負担無しの消費税増税を推奨し、「消費税増税から逃げるな」と声高に叫んでいます。
菅政権がTPP参加を言い始めました。日本経団連は、アメリカ主導の「環太平洋経済統合」への先導役を買って出ています。「自由化で農産物価格が下落したら補償すればよい。1.5%のために98.5%が犠牲になってもよいのか」とアメとムチの政策です。しかし、補償財源はどこにあるのでしょうか。これも消費税なのでしょうか。
こうして財界大企業は、消費税増税とTPP参加を成長戦略に不可欠として声高に主張し始めています。橋本内閣が消費税増税で家計も経済も悪くして退陣した後、小渕内閣のバラマキ政策で「平成の借金王」となった歴史を繰り返すことも、食料自給率40%がさらに10%近くに下落して食糧危機が起きても、海外展開して稼ぐことを優先するのでしょうか。
菅首相が、「法人税5%下げ」の理由として「企業による国内投資、雇用の拡大」を言うと、米倉日本経団連会長は、「法人税減税は歓迎」と言いながら、雇用・投資拡大は「資本主義でない考え方を導入されては困る」と拒否表明を発しました。こんな身勝手が許されるでしょうか。国民は雇用不安、賃金・収入低下に苦しんでいる一方で、財界・大企業には内部留保、手元資金が溜まり「カネ余り」なのに、です。
「法人税下げ」の恩恵を受けたら何かを返す、という社会通念は湧いてこないのでしょうか。財界・大企業の成長戦略に社会貢献は入っていないのでしょうか。社会に背を向けてでも、資本主義を存続させ、大企業として生き残ろうしているとしか見えません。そこには、社会をリードする気概も自信も無い、と断じざるを得ません。