北朝鮮の蛮行に対し、「圧倒的な軍事力で抑え込め」と言う一方で、「戦争になったら困る。話し合い解決を」と言います。この矛盾した考え方が、人々の中に存在します。一人の考えの内にも、矛盾した考えが同居していないでしょうか。
高校生に「北朝鮮とアメリカとどちらが怖いか」と問いかけると、ほとんどの生徒が「北朝鮮」と答える。そこで「軍事力はどちらが大きいか」と尋ねると、アメリカが何十倍も大きな軍事力を持っていることに思い至る。結局、脅威を感じるのは、軍事力の大きさではなく、その国と「仲が良い」か「悪い」かなのだ、という重要な結論に到達する。この話は、高校の先生から聞きました。
外交は、それぞれ自国の利益を、論争により決着・妥協を図るものですが、「軍事も政治・外交の一つ」という見方があります。それは、最後に決着をつけるのは軍事力、という国際情勢の下で成り立つものですが、現在の世界は違ってきているのではないでしょうか。
北朝鮮の蛮行に対して、米韓が軍事同盟を基に、軍事的圧力を強め、日本が日米軍事同盟を基に後押ししています。圧倒的な軍事力を見せつける米韓軍事演習によって北朝鮮を屈服させ、テーブルに着かせようとしているのでしょうか。
60年前の朝鮮戦争交戦国の組み合わせ(米韓対北朝鮮・中国)が復活したような形で、問題解決が出来るでしょうか。時代は大きく変わっています。アメリカが強大な軍事力で一国覇権を振るう時代でなくなり、6カ国協議のテーブルが用意され、アメリカもそこでの解決を求める、という構造変化が起きています。中国は「6カ国首脳会合」を呼びかけ、北朝鮮を入れた話し合いで解決しようとしています。
一番の問題は、北朝鮮が6カ国協議のテーブルを拒否し、アメリカを単独交渉に引き出そうとして挑発行為に走っている、と思われていることです。北朝鮮は自国の利益のため、アメリカ覇権主義を利用する戦略をもっているようです。北朝鮮は世界の構造変化が認識できていないのではないでしょうか。この点は、中国がよく説得する必要があります。
日本は二度と戦争をしない、そのため戦力を放棄する、とうたった日本国憲法の文部省解説書。「日本は正しいことをほかの国より先に行なった。世の中に正しいことぐらい強いものはありません」と格調高く述べています。日本で今、北朝鮮の出方を憶測する記事がマスコミを賑わしています。しかし、「軍事力でなく話し合い解決を」の態度こそ、6カ国協議の精神でもあり、問題解決の王道です。日本国憲法の精神を発揮した外交努力を!!
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