「環太平洋経済連携協定」=「TPP」参加には、自動車・家電など輸出企業はこれを歓迎し、農業など輸入自由化で被害を受けてきた産業部門は反対し、「開国」か「壊国」か、と厳しい対立が起きています。
しかし、「環太平洋経済連携」の名が示すように、アメリカが入った経済連携であり、アメリカは主導的に、自国に有利な協定にしようとしています。1月23日日経が「TPP、もうひとつの顔」と題して、昨年末のニュージーランドでの9カ国協議、今回の日米協議でのアメリカのやり方を報じています。
9カ国協議の24作業部会のすべてで、米企業の輸出拡大に役立ちそうな案を持ち出し、「横断的問題」と称して交渉促進を迫ってきます。「関税問題」は決着が難しいので、それ以外で成果を勝ち取りたいとのオバマ政権の「焦り」もあるのではないか、と日経太田泰彦編集委員は言っていますが、アメリカに有利な通商協定が狙われていることは明らかです。
TPPは、地域統合を進め、グローバルな貿易自由化への「日本の貿易新時代に」という主張まで出されています。「開国」「地域統合」「貿易新時代」と言うと、日本がアジア・太平洋地域で活躍するような錯覚を与えます。
しかし、TPP参加で現実に起きることは、今でも40%しかない食料自給率の10%台への急低下、3~4千円(60kg=1俵)のカリフォルニア米によって、高温障害による規格外米価並みの低米価を押し付けられることなどです。
家族経営、非効率性を言い立て、輸出産業のおこぼれを受けているなどと攻撃し、日本農業壊滅を叫んでいるが如し、です。農業は最も古い産業であり、世界的にも、家族経営が普遍的な形態です。アメリカなど、資本主義的農業を発達させ、農産物輸出が国策になっている国の通商政策に乗せられてはたまりません。
菅政権は、農家への戸別補償を言いますが、昨年の米価下落には、この補償を理由に買い叩きが起こり、戸別補償を受けられない米作り農家には甚大な被害です。
TPP参加で「大企業栄えて国滅ぶ」「大企業も農業も滅ぶ」という「壊国」が現実性をもって語られています。