4日のNHKスペシャル「セイフティネット・クライシス」は観る価値がありました。「子どもの貧困」問題で、神野直彦関西学院大教授と湯浅誠反貧困ネットワーク事務局長が、総体的な問題と差し迫った問題とを提起し、新浪剛史ローソン社長が経済界から発言し、山井和則厚生労働政務官が民主党のマニュフェストをもとに答えました。
従来の討論番組と大きく違って、政府側を攻撃・非難する場面が全くありません。出席者全員が発言者の主張にうなずきあい、町永俊雄アナの巧みな展開で問題の核心が明らかになっていきます。
「こどもの貧困」がレポートされーー入浴やオムツ替えの回数を減らされる幼児、病院に行けない、学用品を買ってもらえない小学生、学費のみならず生活費まで稼がねばならない高校生ーー雇用問題、教育問題としても、政府や企業経営者に訴えられました。
4日付山陽新聞で精神科医の香山リカ氏が「最近討論番組に出演して雰囲気が違ってきた」と書き、その理由を「そこにしか解決の糸口が見出せないほど、いまの社会は病んでいる」と言って「政治家は『傾聴ボランティア』たれ」と訴えていますが、この番組も同じ傾向を示していると思います。
人々の個々に切実な問題や社会問題を、政治や企業経営者が本気で受け止め解決に向けて動き出すーーこの雰囲気が出てきたことは、自公政権退場の効果であり、新しい政治プロセスの第一歩ではないでしょうか。
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