2009年4月北京で開かれた日中両共産党理論会談での不破発言をご自身がまとめたものです。中国側から「世界経済危機」について、3つの主題(①マルクス主義の恐慌理論と金融危機②現代資本主義への金融危機の影響③世界の社会主義への金融危機の影響)に分けて21項目の質問が提出されています。
自らのマルクス研究をもとに1つ1つ質問に答えるくだりは、中国ならずとも知りたいと思ってきたことばかりで、その解明に強い刺激を受けました。
圧巻は、②の項で、新自由主義を「アメリカが世界に押し付けた政策体系」として展開しているところです。3つの柱ーー1.資本の横暴に対する社会的規制を否定し、これを排除する 2.利潤獲得の主舞台を金融経済に求める逆立ちの経済システム 3.この2つの特徴をもったアメリカ型資本主義を「グローバル化」と称して世界に押し付けたーーを挙げ、その失敗を、新自由主義者自身が自覚している、と喝破しています。さらに鈴木直次著『アメリカ産業社会の盛衰』(岩波新書)を詳しく引用して、アメリカの産業力の弱体化は、金融経済のとりこになった首脳部の責任、と断じています。
しかし、「社会的強制を嫌がる」「どこでも大儲けには手を出す」「都合の良いシステムを世界に押し付けたい」という資本の本性は、資本主義が続く限り存続する、とキッパリ指摘しています。
社会と経済に大被害を与えたのは新自由主義・資本主義です。それに対峙して社会主義を目指す経済も、当然その否定的影響を受けます。しかし、今回G20金融サミットで、中国の機敏な経済対策(4兆元規模)が世界を救った、と言われます。不破さんは、社会主義を目指す政権が市場経済の無政府性に流されないで、計画経済で財政に裏付けられた「経済のマクロ・コントロールの陣立て」を握っているからだ、と指摘します。同時に、中国の経済的発展段階の弱点として「セイフティネットの遅れ」を指摘し、その分野で積極的対策が進められれば、経済危機との闘いで、他国にない規模で人民の力を結集する条件を作り出すだろう、と言っています。
不破さんは、日本共産党の発展戦略を述べています。日本共産党が、派遣切りなど、新自由主義がもたらした悪政と闘い、国民の苦難軽減に尽くす中で、民主主義革命の立場に立った日本共産党の政策プログラムが広範な国民に受け入れられる条件が広がりつつある、と。
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