マルクスは、資本論の中で、人間の労働(生産活動)とは何か、について「人間が自然との、その物質代謝を彼自身の行為によって媒介し、規制し、管理する一過程」と述べています。これを不破哲三社研所長は、著書「マルクス未来社会論」で「人間は、自然が提供する栄養物を食べ、また廃棄物を排出するという、他の生命体と同じ物質代謝もおこなって」いるが「人間が自分の行為で切り開いてゆく、より高度な物質代謝」が「労働あるいは物質的生産の活動」だ。「この労働は、人間にとって、自分の欲求を満たすために自然に働きかける活動だというだけでなく、自分の目的を自然の中に実現する創造的な活動であり、また、そのことを通じて、自分自身の諸能力を発達させる、きわめて能動的な活動」と解説し、「人間と人間社会にとって、物質的生産の活動がもつ本来的意義を、全面的に描き出した」「マルクスの労働讃歌」だと書いています。
資本主義が過剰生産恐慌に陥り、その被害が人々を襲い、経済社会の危機が進行しています。さらに、地球温暖化などで、生命維持装置である地球環境が危い、と言われます。今まさに物質的生産の活動がもつ、「自然との高度な物質代謝」を「規制し、管理する」ことが求められているのではないでしょうか。
いま、建設、自動車・電気機器関連大企業が起こした経済危機を乗り越える、新しい成長産業は何か、が模索されています。マルクスが言う「自然との物質代謝」の観点で、生産活動全体を見直すことが求められていると思います。資本主義生産が衰退へと追いやった、かつてのトップランナー、農林漁業の再生こそカギを握る、と考えます。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。