蛮行としか言いようがない北朝鮮の軍事行動。「こけおどし」で何を狙っているのか。アメリカを直接交渉に引き出す狙いで繰り返す「瀬戸際外交」と言われています。すなわちアメリカという一国覇権主義大国を前提に、覇権との取引に掛けようとするものです。
北朝鮮の蛮行に対しては、韓国が毅然として対抗し、それをアメリカが支援し、日本もそれらを支持する、これが日本外交のスタンスと言われます。しかし、何が解決できるのでしょう。
アメリカの覇権主義は、イラクで撤退を余儀なくされ、アフガ二スタンでも行き詰っています。世界経済を牽引するはずのアメリカが、自ら発の金融危機、過剰生産・恐慌を起こし、そこから抜け出すことができていません。中国、インドなどの経済発展が世界を牽引し、経済サミットは20カ国以上で開かなければ意味がない状況です。
こうした世界の構造変化こそ、アメリカ覇権主義を前提にした「瀬戸際外交」を無力にしています。西海から黄海に及ぶ米韓軍事演習に、北朝鮮だけでなく中国も反対しています。中国が、北朝鮮と同じ立場に立ってものを言うのであれば、構造変化している世界認識をこそ北朝鮮に伝え、「瀬戸際外交は通用しない」と諭すべきではないでしょうか。
日本は北朝鮮にどう映っているでしょうか。そもそも日本は北朝鮮に与えた戦争被害への賠償も平和条約も未だ果たしていません。日米同盟(日米安保条約)でアメリカに従属している日本は、アメリカの覇権と一体的に映っているのではないでしょうか。日本の対北朝鮮外交は、戦後処理問題に加え、拉致や核兵器開発を含む包括的な解決が迫られています。
ヨーロッパの戦後体制は、ユーロ圏の創設、ロシアのNATO加盟模索など安全保障体制構築に力が注がれてきました。日本、中国など北東アジアでも圏構想がありますが、覇権・従属関係を脱して平等互恵の関係が前提となります。日本がアメリカとの軍事同盟の桎梏を脱し、北東アジアの安全・安定のため、戦争放棄の平和憲法を持つ国の外交力を発揮すべき時ではないでしょうか。