「跡継ぎ・後継者がいない」「世代継承が困難」----こうした切実な声が、いま社会の各分野で上がっています。農林漁業など第1次産業が後継者難と言われて久しく、商店街や中小企業も同じ状況に陥っています。「限界集落」と言われるような地域活動の困難化は、過疎地に始まり、今や都会のベッドタウンに広がっています。そして、社会進歩の原動力である、労働運動・民主的運動でも世代継承が大きな課題になっています。
産業分野の世代継承の困難性は、その仕事から収入が十分得られない、生活できないことから来ています。地域活動の困難は、共同体の中に若い人がいない、いても参加できないからです。労働運動・民主的運動でも、若い人が自覚的に結集することに成功していません。こうして社会の各分野で衰退現象が起きているのではないでしょうか。
いまの経済危機が、産業の衰退に拍車をかけています。低賃金労働者を集めてぼろ儲けした製造業など大企業が、「調整弁」と称して失業者を増大させ、後継者育成を放棄しているかのように、新規学卒者の雇用を拒否しています。若者の2人に1人が「ワーキングプア」、比較的高い賃金の労働者は「過労死」寸前まで「サービス残業」など違法労働を強いられる状況は、大企業においても、世代継承を困難にしています。
この危機状況の中で、第1次産業でも、商店・中小企業でも、地域活動そして、労働運動・民主運動でも、いま若い力を呼び戻したい、という世代継承の強い願いが生まれています。この願いこそ社会の健全な発展を進め、経済危機打開の原動力となるものではないでしょうか。「老いも若きも」力をあわせ国民運動を展開していきましょう。