歴代政府は、日本農業の経営主体及び規模が弱く小さいから、強く大規模な農業へ転換させようとしてきました。そして、「貿易自由化」の名による「資本主義の競争原理」を導入し、農業保護を放棄する政策を推し進めてきました。その結果、日本農業が衰退の道を突き進んでいることが、今回の農林業センサス(調査)でも極め付きで明らかとなりました。
2010年2月1日現在農業就業人口は260万人、20年間で半分に減少です。就業者平均年齢は65.8歳に上昇。会社を退職し、年金で農業収入を補い、農業を継続している姿が伺えます。また、高齢のためやむなく離農し、耕作放棄に至る姿がそこに映っています。耕作放棄地は40万ha、20年間で倍加しました。日本の経営耕地面積の1割、九州の耕地面積に匹敵する耕作地が失われたことになります。その中で、食料自給率は40%に落ち込んだまま上がりません。
このままでは、日本農業衰退は避けられず、早晩食糧危機が訪れることは火を見るより明らかです。歴代政府が、市街化区域農地に「宅地並み課税」を課し、農業振興策をゼロにし、宅地化と離農を促して、農地も担い手も大きく減らしました。
しかし、政府の都市農業抑制政策にも拘わらず、しぶとく農業を続けてきた兼業、専業農家が存在します。祖先から受け継いだ、20~40a(2~4反)程度の田畑で米、野菜などを生産する小規模農家です。また、20~40㎡(6~12坪)程度の貸農園で丹精込めて野菜づくりに励む市民もまた食糧生産に一役買っています。
都市と農村が混在する日本において、都市農業は、緑の保全、防災機能の保全という、まちづくりを担っています。その担い手が高齢化し、離農し、後継者がいない状況では、住みよいまちづくりもできなくなります。
「倉敷市の農業を考える会」では、農業者、市民、研究者が手を携えて、都市農業を振興させ、「担い手づくり」を進めようとしています。そのためにも、「市街化区域農地の固定資産税軽減」はどうしても実現したい課題です。
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