5日倉敷市の農業を考える会が結成されました。記念講演で立命館大学非常勤講師の渡辺信夫先生が「都市農業とまちづくりの転換期と課題」と題して熱弁を振るわれました。初めて聴いた私たちにとって「目からウロコ」でした。
「城郭都市」から発展した都市国家である、西洋には都市農業は存在せず、都市の外で農場制農業が営まれている。それに対して日本は農村都市国家で、「京に田舎あり、田舎に京あり」と言われる、都市と都市農業が対立しながら共存・共生してきた。
高度経済成長による急激な都市化に対応して、旧建設省が「都市計画法」(68年)で歴史上初めて市街化区域線引きを行い、それに対抗して農水省が「農振法」(69年)を制定したが、市街化区域をはじめ広大な農地と農業の放棄が推し進められた。それは「国土の開発原則禁止」の仏独と違い、日本は「開発・建築自由の原則」を採ったから。
開発により土地バブルが発生。バブル崩壊を経てつくられた土地基本法(99年)で「土地は社会性、公共性をもつ」との基本理念が打ち出され、また、06年都市計画法改正など「まちづくり三法」で、行き詰ったまちづくり政策の転換を図ろうとしているが、新自由主義・規制緩和路線は民主党内にも存在し、混沌としている。
ではどうするか。渡辺先生は「新自由主義・規制緩和に反対し、国土の公共管理を行う。『開発・建築の不自由原則』、都市の緑被率(農地など緑地を含む)3割確保などの法改正を目指す」として、豊富な実践を紹介してくれました。
蜷川京都府政が68年都計法線引きに際し、農業と農家を守る立場に立って懇談会などを行った。長岡京市では、農家の合意により「市街化区域を穴抜き調整区域編入」「生産緑地制度活用による農地保全」「農作業の受委託組合」「地産地消推進協議会の活動及び学校給食への拡充」「市民の農民化政策ーー農業技術養成学校など、市民農園、貸し農園を協働型農業の場に」など、多様な取り組みを行っている。
最後に渡辺先生が強調されたのが「まちづくりの主体形成・担い手づくり」。自治体、農業委員会、農協、市民運動などと提携し、都市農業とまちづくりを進める主体形成・担い手づくりこそカギを握っている、と熱を込めて訴えられました。
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