2009年1月誕生したオバマ政権の1年について雑誌「経済」4月号が特集記事を掲載。ーーまるで『資本論』第一巻の冒頭、「商品」の世界に足を踏み入れたようだ。なにしろ米国では、医療保険は「商品」なのであるーーこの書き出しで始まる「医療保険改革の攻防からみたアメリカ」(薄井雅子・在米ジャーナリスト)に注目しました。
「オバマケア」と呼ばれる医療保険改革では「国民に保険を買うことを義務づけ、購買力のない人には税控除で助成する」とされ、それは無保険者4700万人が新顧客となって民間医療保険業界(大手10社の純益は2007年1兆円超)に「また金が流入し始める」と予言されている、と言います。
ムーア監督の映画「シッコ」に描かれたように、保険会社の支払い拒否で必要な医療が受けられないで死亡に至るような「不十分な保険」状態に置かれた人が2500万人いる、と言います。そこで儲けを上げる保険業界は、低所得者のギリギリの生活費、いのちを食いものにする「貧困ビジネス」と似ています。
一方民間の営利医療機関や保険業界にたよらない公的医療保険制度を推進する民主党下院議員有志や進歩的な医師・市民グループも活発に活動している、と言います。これに対して共和党などは「社会主義だ」と攻撃しているそうです。
オバマ民主党が支持率を低下させ、上院補欠選挙では支持率の上がっていない共和党に敗北。医療保険などの改革への期待が裏切られた有権者が反発したからだ、と報じられています。日本でも、「自公政権ノー」の審判で政権交代した民主党が支持率を下げ、地方首長選挙で自民・公明党推薦候補に敗北しました。後期高齢者医療制度の廃止、高すぎる国民健康保険料及び医療費窓口負担の軽減など、公的医療保険制度の改善公約を実行しない民主党に失望感が広がっているからだと言われます。
大企業・大資産家が巨額の富を蓄え、働く国民の所得が減り続ける格差社会の日本。もしも消費税増税を許せば、さらに低所得者の生活費が奪われ「貧しい国民」を大量に生み出すのではないでしょうか。大企業・大資産家の利益・ため込み金を減らして国民に還元することこそ第一に取り組むべき課題です。これは、利潤第一主義の資本主義の下で、憲法25条「生存権」保障を実現する、画期的なたたかいとなるものです。
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