10年度政府予算案の1面報道で「過去最大92兆円余」は各紙共通で、「歳出膨張『非常事態』」と大見出しで危機感を煽った産経以外は冷静な報道姿勢です。「国債44兆円超、歳入の半分」は、しんぶん赤旗以外に共通した見出しです。日経は「家計重視、借金膨らむ」と訴え、「バラマキで安心得られず」と主張。産経が「見えぬ成長戦略、景気浮揚に疑問符」と財界よりの姿勢を示していますが、主に公約との関係で予算評価する報道が多いようです。「公約実行『借金頼み』」(山陽)「鳩山公約、火の車」(毎日)「財源難、色あせた公約」(朝日)「ムダ減らし限界、公約優先では財政がもたない」(読売)など、各紙が財源問題を指摘しています。
これらに対して、しんぶん赤旗は「米軍再編経費が大幅増」と歳出の問題点を大見出しで伝え、軍事費にメスを入れない予算案を鋭く告発しています。他紙にこのような見出しはありません。財源論を展開しながら、軍事費を「聖域視」する報道姿勢は問題ではないでしょうか。
各誌とも、2ページ以下で各分野の予算を解説評価しています。これまでの児童手当(小学生まで月5千円ー3歳まで及び第3子以下は月1万円)に、初年度半額で、「子ども手当」が中学生まで月1万3千円上乗せされる。公立高校授業料の無料化及び私立高校生1人12万円を学校設置者に支給し、授業料差額は家庭負担。これらは国民に歓迎されている公約の実行です。生産数量目標の枠内で作付けしたコメ農家への戸別所得補償(定額部分は10aあたり1.5万円)だけで、価格保障無しで経営が成り立つか疑問視されています。
しんぶん赤旗は、大企業が利用する研究開発減税の上乗せ措置継続、10%の証券優遇税制維持など大企業・大資産家優遇税制を聖域にする一方、所得税・住民税の16歳未満扶養控除廃止など庶民増税は反対だ、とキッパリ批判しています。それに対して、しんぶん赤旗以外は、税収の大幅減、歳入不足を指摘し、民主党の財源政策に疑問を投げかけても、消費税以外の歳入政策が示せません。
借金増大は、アメリカの対日要求による大型公共事業をゼネコン大企業優先で進めたツケではないのか。景気対策、内需拡大・デフレ克服は、雇用を守り家計重視への転換しかない。そのために大企業に社会的責任を果たさせる政治が求められているのではないでしょうか。